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「老化」って余りいい感じの言葉ではないと思いませんか?

私はあまり好みません。八十を超えた人間には悲哀すら感じさせます。
確かに、どなたでも老化に伴って、目はかすみ、耳が遠くなり、いろいろ体の機能が衰え、記憶力も低下します。 失われたものを嘆きたくもなります。

もちろん肉体的な機能は若いころのようなわけにはまいりませんが、その反面、年月をたくさん重ねてきたお蔭で経験も豊かになり、ものの見方が昔の若いころよりもずいぶん変わります。

若いころは、どうも若さの勢いに任せ、よそ見もせず、真っ直ぐ前方のみを見つめて、ひたすら、はぁはぁと息せき切って走り続けていたようです。
ところが八十代では、行動が緩やかになり、不思議と他人様の意見も素直にお聴きすることが出来るようになりました。 周りの景色もよく見えだします。それもとても美しく。

小さくささやかなギャラリーのオーナー歴二十余年、 当初は京都や大阪の老舗のギャラリーにしばしば通って「ギャラリー業とはなんぞや」をしっかり勉強させていただき、作家さんも紹介していただきました。アートの世界を全く知らない私なので、とても苦労しました。

今では作品の中に作り手の情熱を感じさせていただけるようになりましたし、その情熱をお客様方にうまく伝えようと店内の展示を工夫する楽しみもおぼえました。
ときには、そんな作品を前にしてお客様と、作り手の想いを伝えながらの会話が、老化傾向の私に若さや感性を深く豊かにして頂いているようです。

おかげで、近頃では、体の老化はあっても気持ちのほうは老いた気配もなく (笑)natubana
つぼみが膨らんでいくように不覚にも胸のときめきすら感じることがあります。
これから先どんな世界を見せていただけるかしらと身体を労わりながら
もうすこし、長生きを楽しんでみましょうか。